「部下が仕事で、聞かれたことしか答えない…」。
そう悩んでいませんか?
指示待ちで、自分から動こうとしない部下の姿に、イライラしたり、チームの将来を不安に感じたりすることもあるでしょう。
しかし、その行動の裏には、本人も気づいていない心理や原因が隠れているのかもしれません。
この記事では、なぜ部下がそのような働き方になってしまうのか、その原因と心理を深く掘り下げます。
その上で、明日からすぐに実践できる、部下の主体性を引き出し、成長を促すための具体的な仕事術やコミュニケーション方法を徹底的に解説します。
この記事を読めば、部下への見方が変わり、あなたのマネジメントの悩みを解決する糸口がきっと見つかるはずです。
- なぜ?「聞かれたことしか答えない」仕事をする部下の原因と心理
- 聞かれたことしか答えない部下を伸ばす仕事術とコミュニケーション
なぜ?「聞かれたことしか答えない」仕事をする部下の原因と心理
部下がなぜ、仕事において聞かれたことしか答えない、あるいは指示されたことしかしない「指示待ち」の状態になってしまうのでしょうか。
その行動の背景には、単なる「やる気がない」という言葉では片付けられない、複雑な原因や心理が隠されています。
一方的に部下を責める前に、まずはその心の内に目を向けてみましょう。
彼ら彼女らがなぜそのような行動を取るのかを理解することが、問題解決の第一歩となります。
このパートでは、指示待ちになってしまう人の特徴から、その裏にある心理、さらには本人も気づいていないかもしれない特性に至るまで、多角的な視点からその原因を解き明かしていきます。
【5つの特徴】指示待ちや受動的になってしまう人の共通点
あなたの周りにいる「聞かれたことしか答えない」部下には、いくつかの共通した特徴が見られるかもしれません。
これらの特徴を知ることで、部下の行動パターンをより客観的に把握することができます。
特徴1:常に受け身で自分から行動しない
最も分かりやすい特徴は、自発的な行動が極端に少ないことです。
「何かやることはありますか?」と尋ねてくることは稀で、手持ちの仕事が終わると、次の指示があるまで静かに待っている傾向があります。
新しい仕事のやり方を提案したり、業務改善のアイデアを出したりすることもほとんどありません。
特徴2:質問や相談が少ない
業務を進める上で不明点や疑問点が出てきても、自分から積極的に質問に来ることが少ないのも特徴です。
ギリギリまで自分で抱え込んでしまい、後になって「実は分かっていませんでした」と報告されるケースもあります。
これは、何を質問していいか分からない、質問すること自体が怖い、といった心理が働いている可能性があります。
特徴3:自分で判断することを避ける
些細なことでも「これはどうすればいいですか?」と、一つひとつ上司の判断を仰ごうとします。
自分で判断することへの責任を負うのを極端に恐れているため、常に誰かの「お墨付き」を欲しがるのです。
この傾向が強いと、業務のスピードが著しく低下する原因にもなります。
特徴4:言われたことの範囲でしか動かない
指示された業務は忠実にこなす一方で、その周辺業務や、指示の意図を汲み取って「ここまでやっておいた方が良いだろう」と一歩先回りして動くことが苦手です。
指示内容がゴールだと考えているため、それ以上の付加価値を生み出そうという意識が働きにくいのです。
特徴5:失敗を極度に恐れている
新しいことへのチャレンジや、前例のない業務に対して非常に消極的です。
「もし失敗したらどうしよう」「怒られたら嫌だ」という不安が先立ち、行動にブレーキをかけてしまいます。
このため、常に安全な道、つまり「指示されたことだけをやる」という選択をしてしまうのです。
自信のなさや失敗への恐怖が原因?隠された部下の心理とは
指示待ちや受動的な行動の裏には、部下の心の中に渦巻く様々な感情が影響しています。
特に「自信のなさ」と「失敗への恐怖」は、行動を抑制する大きな原因となっている場合が少なくありません。
過去の失敗体験がトラウマになっている
以前の職場や、過去の経験で、自分の判断で行動した結果、手痛い失敗をしたり、上司から厳しく叱責されたりした経験が、心に深い傷として残っている可能性があります。
「良かれと思ってやったのに、怒られた…」という経験は、「余計なことはしない方がいい」という学習につながり、自発的な行動を封じ込めてしまうのです。
本人はその経験を忘れているかもしれませんが、無意識のうちに自己防衛的な行動として現れているのかもしれません。
完璧主義で最初の一歩が踏み出せない
一見、仕事への意識が低いように見えて、実はその逆で「完璧にこなさなければならない」というプレッシャーに苛まれているケースもあります。
完璧主義の傾向が強いと、「中途半端な状態で報告できない」「失敗するくらいなら、最初からやらない方がマシだ」と考え、行動を起こすこと自体に高いハードルを感じてしまいます。
結果として、確実な指示があるまで動けない、という状況に陥ってしまうのです。
知識やスキル不足による自信の欠如
単純に、現在の業務に対する知識やスキルが不足しており、「何をどうすれば良いのか分からない」という状態なのかもしれません。
この場合、本人はやる気がないわけではなく、どう動けばチームに貢献できるのか、自分の判断が正しいのかという点に全く自信が持てないのです。
自信がないために、質問することすらためらってしまい、結果的に指示待ちに見えてしまっている可能性があります。
「言われたことだけやるのは何が悪い?」と考える部下の本音
上司から見れば問題行動に映る「指示待ち」ですが、部下本人の中には、それが「当たり前」あるいは「最善の策」だと考えている場合もあります。
彼らの言い分や本音を理解することも、関係改善のヒントになります。
余計なことをして怒られたくない
部下にとって、上司からの指示は「業務の範囲」であり、同時に「責任の範囲」でもあります。
指示された範囲内のことであれば、何か問題が起きても「指示通りにやりました」と言えますが、範囲外のことに手を出して失敗すれば、その責任は全て自分が負うことになります。
このリスクを避けるため、「言われたことだけを忠実にこなす」のが、最も安全で賢い働き方だと考えているのです。
責任を負いたくないという気持ち
自ら判断し行動するには、その結果に対する責任が伴います。
特に、自分の判断がチームや会社にどのような影響を与えるかというプレッシャーは、非常に大きいものです。
その重圧から逃れたいという気持ちが、「判断はすべて上司に委ね、自分は実行部隊に徹する」というスタイルを選ばせている可能性があります。
これは、主体性がないというよりは、一種の防衛本能と言えるかもしれません。
仕事へのモチベーションが低い
残念ながら、そもそも現在の仕事や会社に対して強い関心や当事者意識を持てていないケースも考えられます。
「仕事は生活のため」「給料をもらうために、与えられた最低限の役割は果たす」という価値観を持っている場合、指示された以上のパフォーマンスを発揮しようというインセンティブが働きにくいのです。
この場合、仕事の意義や目的を共有することから始める必要があるかもしれません。
職場にいる、質問にわざと答えないように見える人の心理的背景
「聞かれたことしか答えない」という行動がさらに進んで、こちらからの質問に対して、意図的に答えていないかのように見える部下もいます。
これは上司にとって大きなストレスですが、その行動にもいくつかの心理的背景が考えられます。
何を答えていいか分からず固まってしまう
上司からの突然の質問や、意図が掴みきれない質問に対して、頭が真っ白になってしまい、何も言葉が出てこなくなってしまうことがあります。
本人は答えようとしているのに、プレッシャーや緊張で思考が停止してしまっている状態です。
周りからは「無視している」「考えていない」ように見えますが、内心では非常に焦っているのです。
上司に対して不信感や苦手意識がある
過去のやり取りの中で、上司に対して「何を言っても否定される」「高圧的だ」といったネガティブな感情を抱いている場合、コミュニケーション自体を最小限にしようとすることがあります。
質問に答えることで、さらなる追及や叱責を受けることを恐れ、無意識のうちに口を閉ざしてしまうのです。
これは、部下からの危険信号と捉えることもできます。
プライドが高く、知らないことを認めたくない
「こんなことも知らないのかと思われたくない」というプライドが邪魔をして、素直に「分かりません」と言えない人もいます。
答えに詰まっても、知ったかぶりをしたり、話を逸らしたりしてその場を乗り切ろうとします。
このタイプは、自分の弱みを見せることが極端に苦手なため、質問されること自体を攻撃と捉えてしまうことさえあります。
分からないことを聞かれるとストレス?考えられる特性について
多くの人が、分からないことを聞かれれば多少の戸惑いは感じるものです。
しかし、それが極度のストレスとなり、思考停止や回避行動につながる場合、その背景には個人の気質や認知の特性が関係している可能性も考えられます。
ここで挙げるのはあくまで可能性の一つであり、専門的な判断ではありませんが、部下を理解する上での視点として知っておくと良いでしょう。
思考の特性としての可能性
一部の発達障害(特にASD:自閉スペクトラム症)の特性として、言葉の裏にある意図を読み取ったり、抽象的な表現を理解したりすることが苦手な場合があります。
例えば、上司が「この件、どう思う?」と漠然と質問した場合、何をどの範囲で答えれば良いのかが分からず、混乱してしまうことがあります。
彼らにとっては、「AとBのどちらが良いと思いますか?」といった、具体的で明確な質問の方がはるかに答えやすいのです。
決して能力が低いわけではなく、情報の受け取り方や処理の仕方が多数派とは異なるだけなのです。
HSP(Highly Sensitive Person)の気質
HSPは「非常に感受性が強く、敏感な気質を持った人」のことを指します。
病気ではなく、あくまで個人の気質です。
HSPの人は、相手の表情や声のトーン、職場の雰囲気など、周囲の刺激を非常に強く受け取ります。
そのため、上司から質問されるという状況だけでも、「うまく答えなければ」「がっかりさせてはいけない」と過剰なプレッシャーを感じ、本来のパフォーマンスが発揮できなくなることがあります。
彼らにとっては、穏やかで安心できる環境で、一対一で落ち着いて話す機会を設けることが有効な場合があります。
聞かれたことしか答えない部下を伸ばす仕事術とコミュニケーション
部下の行動の裏にある原因や心理を理解したところで、次はいよいよ具体的なアクションに移ります。
「聞かれたことしか答えない」部下を、ただ「使えない」と切り捨てるのではなく、彼らの秘めたる可能性を引き出し、主体的に動ける人材へと「伸ばす」には、上司であるあなたの関わり方が何よりも重要になります。
ここからは、明日からすぐに実践できる、部下の育成に繋がる仕事術とコミュニケーションの具体的な方法について、詳しく解説していきます。
テクニック論だけでなく、部下との信頼関係を築くためのマインドセットから、具体的な指示の出し方、フィードバックの方法まで、網羅的に見ていきましょう。
まずは信頼関係から!心理的安全性を高める1on1ミーティング
部下の主体性を引き出すための全ての土台となるのが、上司と部下の間の信頼関係です。
部下が「この人になら本音を話せる」「失敗しても助けてくれる」と感じられなければ、自ら一歩を踏み出す勇気は生まれません。
その信頼関係を築く上で非常に有効なのが、定期的な1on1ミーティングです。
「心理的安全性」とは何か?
まず理解しておきたいのが「心理的安全性」という概念です。
これは、「このチームの中では、自分の意見や気持ちを安心して表明できる」とメンバーが感じられる状態のことを指します。
心理的安全性が高い職場では、部下は「こんなことを言ったら馬鹿にされるかも」「間違っていたら怒られるかも」といった不安を感じることなく、素朴な疑問を口にしたり、新しいアイデアを提案したりすることができます。
これが、主体性を育むための土壌となるのです。
このような部下の心のケアは、上司の重要な役割の一つであり、厚生労働省も「ラインによるケア」の重要性を説いています。
上司が部下の異変に気づき、相談に乗ることで、部下は安心して働くことができるようになります。
1on1で何を話すべきか?
1on1は、単なる業務の進捗確認の場ではありません。
むしろ、主役は部下自身です。
上司は聞き役に徹し、部下が今どんなことに困っているのか、どんなキャリアを思い描いているのか、あるいはプライベートでの関心事など、多岐にわたるテーマについて話を聞く時間と捉えましょう。
「最近、仕事で何か困ってることない?」
「〇〇の業務、やってみてどうだった?」
「今後、どんなスキルを身につけていきたいとかある?」
こうした問いかけを通じて、部下自身に内省を促し、上司が自分に関心を持ってくれている、という感覚を育てることが重要です。
上司が心がけるべき「傾聴」の姿勢
1on1を成功させる鍵は、上司の「聴く力」にかかっています。
部下が話している最中に、「それは違うよ」「もっとこうすべきだ」と話を遮ったり、結論を急いだりするのは厳禁です。
まずは、部下の言葉を最後まで、途中で評価や判断を挟まずに聴く「傾聴」の姿勢を徹底しましょう。
そして、話の内容に対して「なるほど、そういう風に感じていたんだね」「〇〇で困っていたんだね」と、まずは共感的に受け止める(相槌を打つ)ことが、部下の心を開く第一歩となります。
「言われたことだけやればいい」と部下に思わせない上手な指示の出し方
日々の業務指示の出し方を少し工夫するだけで、部下の仕事への取り組み方は大きく変わります。
部下が「言われたことだけやっておけばいい」という思考停止に陥らないためには、指示の中に「考える余地」と「仕事の意義」を含めることが重要です。
NGな指示の出し方【具体例】
まずは、部下を指示待ちにしてしまう典型的な悪い例を見てみましょう。
- 丸投げ型:「これ、やっといて」
→ 目的も背景も分からず、部下は何のためにやるのか理解できません。 - 抽象型:「この資料、いい感じにしといて」
→「いい感じ」の基準が不明確で、部下は推測で動くしかなく、不安になります。 - プロセス省略型:「とにかくAをBにして」
→ なぜAをBにする必要があるのかが分からないため、応用が利きません。
こうした指示は、部下から思考力を奪い、ただの「作業者」にしてしまうのです。
OKな指示の出し方【具体例】
では、どのように指示を出せば、部下の主体性を引き出せるのでしょうか。
ポイントは「5W1H」、特に「Why(なぜ)」を丁寧に伝えることです。
- 良い指示の例:
「来週の〇〇会議で使う資料なんだけど、(Why)営業部の部長に新商品の販売戦略を承認してもらうのが目的なんだ。(Who)僕が(When)来週月曜の朝までに(Where)部長のデスクに提出するから、(What)過去のA商品の販売データと、今回のB商品の市場調査データをまとめて、強みが分かるようなグラフを作ってほしい。(How)分からないことがあれば、いつでも聞いてね。」
このように、仕事の目的や背景、全体像の中での位置づけを伝えることで、部下は「なるほど、部長を説得するためには、このデータをこう見せた方が効果的かもしれない」と、自分なりに工夫する余地が生まれるのです。
「どこまで任せるか」の線引き
いきなり大きな裁量を与えるのではなく、部下のスキルや経験に応じて、任せる範囲を少しずつ広げていくことも大切です。
最初は「このフォーマット通りにデータ入力をお願い」から始め、慣れてきたら「このデータを見て、何か気づいたことはある?」と意見を求め、最終的には「来月の販売戦略のたたき台を、君の視点で考えてみてくれないか」というように、スモールステップで成功体験を積ませていきましょう。
部下の主体性を引き出すコーチングと効果的なフィードバック方法
指示の出し方に加えて、日々のコミュニケーションの中で「コーチング」と「フィードバック」のスキルを活用することで、部下自身が考え、行動する力を育てることができます。
「教える」から「引き出す」へ!コーチングの基本
ティーチングが「答えを教える」ことであるのに対し、コーチングは「相手の中から答えを引き出す」アプローチです。
部下が「どうすればいいですか?」と聞いてきた時に、すぐに答えを与えるのではなく、質問で返してみましょう。
- コーチング的な問いかけの例:
- 「君はどう思う?」
- 「何か良いアイデアはないかな?」
- 「この問題を解決するために、どんな方法が考えられるだろう?」
- 「もし、〇〇という制約がなかったら、どうしたい?」
最初は戸惑うかもしれませんが、これを繰り返すことで、部下は「まずは自分で考えてみる」という思考習慣を身につけていきます。
ポジティブ・フィードバックの重要性
部下の自己肯定感を高め、行動を促すためには、ポジティブ・フィードバックが非常に効果的です。
単に「よくやった」と褒めるのではなく、「何が、どのように良かったのか」を具体的に伝えましょう。
- 良いフィードバックの例:
「先日のプレゼン資料、特にあのグラフがすごく分かりやすかったよ。データが視覚的に整理されていて、クライアントも納得していた。ありがとう。」
このように具体的に伝えることで、部下は自分の仕事が認められたと感じ、自信を深めると同時に、「次もこのレベルの仕事を目指そう」というモチベーションに繋がります。
ネガティブ・フィードバックは「行動」に対して行う
改善点を指摘する必要がある場合も、伝え方には細心の注意が必要です。
絶対にやってはいけないのは、部下の人格を否定することです。
「だから君はダメなんだ」といった言い方は、相手の心を閉ざし、関係を悪化させるだけです。
フィードバックは、あくまで「人格」ではなく「行動」に対して行いましょう。
- 良い伝え方の例:
「この報告書の結論部分だけど、もう少し具体的なデータに基づいた表現にした方が、説得力が増すと思うよ。例えば、この部分に〇〇のデータを加えてみないか?」
このように、「I(私)メッセージ」を使い、「私はこう思う」という形で提案することで、相手は素直にアドバイスを受け入れやすくなります。
「聞いたことしか教えてくれない上司」にならないための育成ポイント
視点を変えて、部下から見てあなたが「聞いたことしか教えてくれない上司」になっていないか、振り返ってみることも重要です。
部下の主体性は、上司の情報提供の姿勢や、職場全体の雰囲気によっても大きく左右されます。
業務の全体像を共有する
部下に仕事を任せる際、その作業だけを切り取って渡していませんか?
その仕事がプロジェクト全体のどの工程にあり、他のメンバーの仕事とどう連携しているのか、そして最終的に顧客にどのような価値を提供するのか、といった全体像を共有しましょう。
自分の仕事の意義を理解することで、部下は当事者意識を持ちやすくなり、「もっとこうすれば良くなるのでは」という改善意欲も湧きやすくなります。
失敗を許容する文化を作る
部下が失敗を恐れて行動できないのであれば、その不安を取り除くのは上司の重要な役割です。
「失敗しても大丈夫。最終的な責任は私が取るから、思い切ってやってみてほしい」というメッセージを明確に伝えましょう。
また、上司自身が過去の失敗談をオープンに話すことも効果的です。
「自分も昔、こんな失敗をしちゃってね…」と話すことで、部下は「失敗してもいいんだ」と安心し、挑戦への心理的ハードルが下がります。
質問しやすい雰囲気づくり
「いつでも気軽に声をかけてね」と言うだけでなく、実際に行動で示すことが大切です。
部下が話しかけてきたら、たとえ忙しくても一度PCから顔を上げ、体を相手の方に向けて話を聞く。
初歩的な質問に対しても、嫌な顔一つせず、「良い質問だね」と丁寧に対応する。
こうした日々の小さな積み重ねが、「この上司には安心して質問できる」という信頼感に繋がり、コミュニケーションを活性化させます。
どうしても改善しない…そんな部下への最終手段と上手な付き合い方
様々なアプローチを試みても、なかなか部下の行動に変化が見られない場合もあるかもしれません。
そんな時、上司としては精神的に追い詰められてしまうこともあります。
最後に、そうした状況に陥った際の考え方と、最終手段について触れておきます。
仕事の向き・不向きを見極める
もしかしたら、その部下は現在の仕事内容や役割が、本人の特性や能力に合っていないのかもしれません。
主体性や創造性が求められる企画業務よりも、決められた手順を正確にこなすルーティンワークの方が、その人の能力を最大限に発揮できる可能性があります。
「言われたことを正確にこなす」というのは、見方を変えれば素晴らしい長所です。
その長所が活かせる仕事は何か、という視点でキャリアについて話し合ってみるのも一つの方法です。
期待値のコントロール
すべての上司が、すべての部下を理想の人材に育て上げられるわけではありません。
時には、上司自身の「こうあるべきだ」という期待値をコントロールすることも必要です。
部下を変えようと奮闘するのではなく、「この部下にはここまでを期待し、その範囲で最大限のパフォーマンスを発揮してもらう」と割り切り、マネジメントする方が、結果的にお互いのストレスが軽減される場合もあります。
その人の強みを活かすことにフォーカスする、という考え方です。
一人で抱え込まないことの大切さ
最も重要なのは、上司であるあなたが一人で問題を抱え込まないことです。
部下の育成は、あなた一人の責任ではありません。
チーム全体、そして会社全体の課題です。
自分の上司や、人事部に状況を相談し、組織としてどのようにその部下と関わっていくべきか、助言を求めましょう。
客観的な第三者の視点が入ることで、思いもよらない解決策が見つかることもあります。
あなた自身のメンタルヘルスを守るためにも、適切なタイミングで周囲に助けを求める勇気を持ってください。
まとめ:「聞かれたことしか答えない仕事」をする部下を伸ばすために
「聞かれたことしか答えない仕事」をする部下の存在は、上司にとって大きな悩みです。
しかし、その行動の裏には、単なる意欲の問題ではなく、失敗への恐怖や自信のなさ、過去の経験といった複雑な心理が隠されています。
一方的に「使えない」と決めつける前に、まずは部下がなぜそのような行動を取るのか、その背景を理解しようとすることが解決の第一歩となります。
本記事で解説したように、部下の主体性を引き出す鍵は、上司であるあなたの関わり方にあります。
心理的安全性を確保して信頼関係を築き、仕事の目的や全体像を丁寧に伝える指示の出し方を心がけましょう。
さらに、答えを教えるのではなく、質問によって考えを引き出すコーチングや、具体的な行動を褒めて成長を促すフィードバックを実践することが重要です。
これらのアプローチは、部下を変えるだけでなく、あなた自身のマネジメントスキルを高め、チーム全体の生産性を向上させることにも繋がります。
焦らず、一つずつ実践してみてください。
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